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「柔軟な働き方を叶える方法」無料ebookで解説
ワークライフバランスを取りやすい働き方として、多くの企業で導入されているフレックスタイム制。好きな時に働けて良さそうなイメージがありますが、具体的にどのような制度であるか理解していますか。
この記事では、働く前に知っておきたいフレックスタイム制の具体的な内容とメリット、デメリットについて解説します。
フレックスタイム制とは
始業終業時間を社員が自由に決められるフレックスタイム制。
しかし、完全に働く時間を自由に決められるというわけではなく、企業によっていくつかの制限があります。
まずはフレックスタイム制の内容を詳しく解説していきます。
始業終業時間を社員が決められる働き方
フレックスタイム制とは、労働基準法第32条の3に基づいた労働時間の管理方法です。
従来のように会社が始業終業を規定するのではなく、社員が自分で自由に始業終業の時間を決めることができる働き方です。
育児や介護、個人の生活サイクルに合わせて柔軟な労働ができるように設計されたフレックスタイム制は、多様な働き方を実現する制度として多くの企業で導入が進んでいます。
厚労省がわかりやすい解説書をHPで公開
フレックスタイム制については、働き方改革を促進する厚生労働省のHPにわかりやすい解説書が公開されています。
フレックスタイム制導入にあたる企業側の手続きについても解説されているので、興味のある方は確認してください。
出典:厚生労働省
企業の導入率は4割超
2経団連の「2019年労働時間等実態調査」によると、フレックスタイム制の企業の導入率は42.1%とのことです。
コアタイムのないフレックスタイム制の導入企業も22.1%であり、個人のライフスタイルに合わせた働き方が広まっていることがわかります。
コアタイム・フレキシブルタイムとは
フレックスタイム制と言っても、勤務時間を完全に自由に決められる会社ばかりではありません。
多くの企業がコアタイムとフレキシブルタイムという2つの時間帯を設けており、社員はその範囲内で始業終業を決定しています。
コアタイム
コアタイムとは1日の中で必ず出勤しなければいけない時間帯のことです。
例えば昼の12時から17時までをコアタイムとすると、従業員は勤務日のその時間帯は必ず働かないといけません。
コアタイムは必ず設定しなければいけないものではなく、コアタイムがないフレックスタイム制を採用している企業もあります。
フレキシブルタイム
フレキシブルタイムとは、従業員が自身の裁量で決められる時間帯のことです。
従業員は定められたフレキシブルタイムの中から、自分が働きたい(あるいは働くべき)時間を決定します。

例えばコアタイムが12時~17時、フレキシブルタイムが6時~12時、17時~20時の場合を説明しましょう。その場合、従業員は6時から12時までに業務を開始し、17時から21時までに業務を終了することができます
フレックスタイムでは1日の労働時間は決まっていない
フレックスタイム制では1日当たりの労働時間は固定されていません。
1ヶ月など一定期間での総労働時間だけを決めておき、従業員はその範囲内でいつ働くかを自分の裁量で決められます。

例えば月曜日は6時間だけ働いて、その分火曜日に10時間働くといった働き方が可能というわけです。労働時間は日毎ではなく一定期間で計算するため、例のように8時間以上働いた日(火曜日)があったとしても残業時間は支払われません
フレックスタイム制では残業は支払われない?
フレックスタイム制でも残業代は支払われます。
ただし、1日単位ではなく1ヶ月単位で労働時間を算定(清算)し、その基準となる総労働時間を超過していた場合に残業代(時間外手当)が発生する仕組みです。
総労働時間を計算する期間のことを清算期間といいます。清算期間は企業によって1ヶ月ではなく1週間、半月単位の場合もあります。
総労働時間と清算期間について、具体的な数字でもう少し詳しく解説しましょう。
例:1日8時間、週40時間労働を前提として、1ヶ月を清算期間として設定したケース
- 31日まである月の総労働時間は177.1時間
- 30日までの月の総労働時間は171.4時間
→対象月の労働時間がこの基準を超えると残業代が発生する
フレックスタイム制だと規定より短く働いても大丈夫?
フレックスタイム制は始業終業時間を自由に決められる制度であり、総労働時間を自由に決められる制度ではありません。
1ヶ月などの清算期間で集計した結果、基準となる総労働時間に満たない月があったとしましょう。
この場合、満たない(働いていない)時間分の給与はカットされるか、翌月に持ち越して多めに労働時間を確保する必要があります。
フレックスタイム制の企業で働いている、または働く予定のある人は、残業時間や清算期間などについて会社の制度をしっかりと確認しておきましょう。
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フレックスタイム制のメリット
始業終業を自由に決められるフレックスタイム制は、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ワークライフバランスを保ちやすい
ワークライフバランスを保ちやすいことは、フレックスタイム制で働く大きなメリットです。以下の例のように、個人の生活スタイルや家庭の事情に合わせて働くことができます。
- 子供の保育園への送り迎えのスケジュールに合わせて働く
- 体調が悪いので病院に寄ってから出勤する
- 今日の夜は大学の同窓会があるので朝早めに出勤し、夕方に退社する
効率的に仕事を進められる
効率的に仕事を進められるメリットもあります。
例えば、集中できる午前中に長めに働くなど、個人がパフォーマンスを最大限発揮できる働き方ができます。
また、海外とのやり取りを行う部署の場合、時差を考慮して勤務時間を調整することで無駄な業務時間を省くこともできるでしょう。
ストレスが軽減される
毎日同じ時間に始業・終業しなければいけないことは、それだけでストレスでもあります。
フレックスタイム制によって労働時間を自由に決められることで、日々の気分や体調に合わせて働くことができます。いくつか例を紹介しましょう。
- 通勤ラッシュが苦手なので、時間をずらして出勤する
- 勤務中に頭が痛くなってきたので、今日は早めに退社する
- 昨日の飲み会で飲みすぎたので、今朝はゆっくり出社する

フレックスタイム制のデメリット
メリットが注目されがちなフレックスタイム制ですが、デメリットもあります。
個人の自己管理が必要
社員が自由に始業終業時間を決めるフレックスタイム制の中で成果を出すためには、従業員個人の自己管理が不可欠です。
「フレックスタイム制とは」で解説した通り、この制度はあくまで個人のライフスタイルにあわせた働き方を許容する制度です。
サボったり、時間にルーズになってもよいという制度ではありません。
コミュニケーションロスが発生する可能性がある
全ての人が同時に勤務をする時間帯が限定されることで、コミュニケーションロスが発生する可能性があります。
フレックスタイム制でおきる業務への影響には次のようなものがあります。
- 朝一番で連絡をしたいのにまだ出勤していない
- 夕方なのにもう退勤してしまった
- コアタイムにミーティングが集中して、話をしたい相手が捕まらない
勤務時間外に業務連絡がくる
フレックスタイム制では、本人の業務開始前や終了後の時間帯であっても、他の人は働いているという状況が起きます。
これにより、働いている同僚やクライアントから勤務時間外に連絡が来て対応しなければいけないケースもあります。
これについては、自身のスケジュールや始業終業、対応可能な時間帯を事前に関係者に周知するなどの対策が取れるでしょう。
まとめ
ライフスタイルが多様化するにつれて普及しているフレックスタイム制。自由に働けるというメリットの一方、自己管理の必要性やコミュニケーションロスなどのデメリットもあります。
また、コアタイムなど具体的な制度内容は企業によって異なるため、注意しましょう。