アサーションは重要なコミュニケーションスキルの1つ。メリットや注意点も紹介

「職場での上司や先輩とのコミュニケーションが苦手」
「友人から何を考えているか分からないと言われる」
「何でも言い合える友達が出来ない」

などといった対人関係のストレスや悩みを抱えてはいませんか。

コミュニケーションのストレスを減らして、仕事もプライベートも充実させましょう。きっとワークライフバランスの実現にも一役買うはずです。

この記事では、コミュニケーションスキルの1つである「アサーション」ついて紹介します。

アサーションとは

アメリカで生まれ、現在は企業や学校でトレーニングが行われているコミュニケーションスキルであるアサーション。

一般的なコミュニケーションとはどのような違いがあるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

双方の主張を尊重するコミュニケーション方法

アサーションの特徴は、話す人とそれを聞く人がお互いを尊重し合いながら、率直に意見を言い合うコミュニケーション方法だということです。

聞き手の意見を聞かず自分の意見ばかりを押し付けたり、話し手の意見を否定ばかりするようなコミュニケーションでは、どちらか一方にストレスがたまります。

アサーションでは相手に配慮しながら自分のことも大切にし、適切に自己主張をすることでビジネスシーンなどで起こりがちなコミュニケーショントラブルを解消する狙いがあります。

アサーションの歴史

アメリカで生まれたアサーションの歴史は、1949年に出版されたAndrewSalterの「条件反射療法(Conditioned ReflexTherapy)」に由来します。

精神的な問題を抱える人が抑圧されていた時代、そのような人々がアサーション(自己主張)することで本来の活動性を取り戻すことが出来ると考えました。

それから約20年間、アサーションは精神医学の分野において行動療法や対人関係療法の一部として研究・発展してきました。

その後、アサーション・トレーニング(適切な主張行動のトレーニング)研究が盛んに行われた1970年代に発表されたアサーションに関する本「Your Perfect Right」がアメリカでベストセラーとなりました。

その本が当時まだ根強く残っていた人種差別や性差別の問題に大きく影響を与えたと言われています。

日本にアサーションが伝わったのは1980年代。「Your Perfect Right」は日本語では「自己主張(アサーティブネス)トレーニング」というタイトルで翻訳されたものが発売されています。

さまざまな場面で使える

アサーションは、家族や友人など身近な人との円滑なコミュニケーションに使える他、教育現場や企業研修などさまざまな場面で積極的に取り扱われています。

相手の意見を尊重し、自己主張もしっかりと行うアサーションは、現代の教育現場で起こっているいじめ問題などへの活用も期待されているのです。

企業においてはセクハラやパワハラ、高圧的な上司への対処など、職場での様々なコミュニケーションストレスに効果的と言われています。

自己表現には3つのタイプがある

「自己主張が弱い」「自己表現をもっとしろ」といった言葉を上司や先輩から言われたが、具体的に何をどのように表現するべきか分からなかった、という経験はありませんか。

アサーション・トレーニングの基礎を築いたアメリカの心理学者ジョセフ・ウォルピ(Wolpe, J.)によると、人間関係での自己表現には3つのタイプがあると言われています。

各パターンの違いに加え自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで、円滑な関係を築くことに役立つとしています。以下で1つずつ見ていきましょう。

アグレッシブ

文字通り攻撃的な自己主張をするのがこのタイプに当てはまります。相手の意見よりも自分の意見が一番、自分が正しいと言わんばかりに、主張を押し付けるタイプです。

このタイプは勝ち負けで物事を決めたり 相手より優位に立とうとする特徴があります。

口調が強かったり、態度が高圧的である人を連想させるアグレッシブタイプですが、例えば巧妙な言葉で相手を操作したり、相手の行動を支配しようとする人などもこのタイプに含まれます。

ノン・アサーティブ

アグレッシブタイプとは逆に、自分の意見を表現することが苦手なタイプがこのノン・アサーティブタイプです。

このタイプは自分に自信がなく「言ってもどうせわかってもらえない」といった諦めの感情を抱く傾向があり、曖昧な言い方や言い訳のように聞こえる発言が多いです。

しかし、ノン・アサーティブは自己表現が苦手なタイプなだけであり、決して自分の意見を持っていないわけではありません。

そのため「あなたの言う通りにしてあげたのに、どうして私のことを分かってくれないの」といった恨みがましい思いを抱くことも多いことが特徴です。

アサーティブ

アグレッシブとノン・アサーティブのよいところを持ち合わせているのがこのアサーティブタイプで、アサーションを用いたコミュニケーションを取れるのはこのタイプです。

アサーティブは相手も自分もどちらも大切にしながら、相手や状況に合わせた適切な言葉を用いてコミュニケーションを取れます。

アサーティブタイプは、アグレッシブタイプのようにただ意見を言うだけでなく、またノン・アサーティブのように相手の意見を黙って受け入れることもしません。

自己主張することで意見がぶつかり合ったり、議論になることも分かった上で、相手の意見も聞きながら双方にとって納得のいく結論を出そうとします。

アサーションを用いたコミュニケーションができている人の特徴

アサーションという言葉を知っていなくても、自然とアサーションを用いたコミュニケーションを実践できている人もいます。

あなたが仕事やプライベートで接していて「この人のコミュニケーションは心地がよい」という人がいれば、その人はアサーションを無意識的に行っているのかもしれません。

以下ではそのような、アサーションを用いたコミュニケーションができている人の特徴を紹介します。

自分の素直な考えを表現できる

アサーションのスキルがある人は、誰に対しても自分の素直な考えを表現できます。

例えば、上司に仕事の悩みごとを相談したり、会議で自分の意見を発言したり、また友人に対しても見栄を張って嘘をついたりせず、自分の感情を素直に表現したりできます。

よいと思ったことは「よい」と言い、悪いと思ったことは「悪い」と言うことは、状況によっては誰もが出来ることではありません。

しかし、アサーションによるコミュニケーションでは、言いたいことが言いづらい状況であっても、適切な言葉を選びながら伝えることが大切になります。

相手の話を受け入れる姿勢がある

アサーションのコミュニケーションが実践できている人は、相手を頭ごなしに否定することはありません。

たとえ相手が見当違いな意見を言っていたとしても非難する訳でなく、質問をしたり自分の解釈を確かめたりして、相手の主張を理解しようと努力します。

こういった態度は、話す側に安心感をもたらします。

例えば職場などで「この人には自分の考えを素直に言える」という人がいれば、その人はアサーションのコミュニケーションを実践できていると言えるでしょう。

相手に認められたいからといって意見を変えない

相手が誰であろうと自分の意見を主張し、「認められたい」「いい人だと思われたい」といった気持ちから態度や意見を変えることはありません。

また、相手のことを好き・嫌いに関わらず、納得できる意見であればそれを素直に受け入れられます。これは頭でそうしようと思っていても、なかなか簡単に出来ることではありません。

「この人に気に入られたい」「怒らせたくない」などの感情が働き、自分の本当の考えとは違うことを口にしてしまうことがあるからです。

相手の発言に対して落ち着いた反応ができる

相手が高圧的・威圧的な発言をしてきてもイライラしたり怖気づいたりすることなく、落ち着いて話を続けられます。

これは、上述した「意見を変えない」とも関連しており、例えば上司など目上の人と意見が食い違うと、つい「わかりました」と相手の意見を受け入れてしまうことがあるかもしれません。

しかし、アサーションによるコミュニケーションスキルがある人は、相手の立場や態度に関わらずその人の意見・主張を冷静に受け止め対応できるのです。

アサーションのメリット

アサーションを用いたコミュニケーションを実践することで、コミュニケーショントラブルを防ぐことが出来ると紹介しました。

しかし、それ以外にも日常生活やビジネスシーンにおいて様々なメリットがあります。以下で具体的に解説します。

ストレスが軽減する

人の悩みやストレスの最も大きな要因の一つである「人間関係」。

仕事やプライベートなど、日々あらゆる人と接する中で生まれる大小さまざまな対人ストレスは、アサーションによって軽減できます。

「話しづらい」「接しづらい」とあなたが思っている人に対しても、あなた自身が接し方や考え方を変えることで自分の気持ちを押し殺すことがなくなり、ストレスが軽減するのです。

建設的なコミュニケーションができる

アサーションの特徴である「相手も自分の大切にする」は、相手の意見を否定するのではなく理解することが重要になります。

人は誰でも、自分の意見を否定されてよい気分にはなりません。

アサーションのコミュニケーションを実践することで、相手の意見を否定するのではなく互いに歩み寄るための建設的なコミュニケーションが可能になります。

新しいアイディアが生まれやすい

相手が気持ちよく意見を言える状況では、あなた自身も積極的な主張が出来るようになり、その結果話し合いの場などではアイディアが生まれやすくなります。

上司など決定権のある人だけが積極的に発言し、部下や新人はそれを聞いているだけ、といった会議に参加したことはありませんか。

これは「新人の意見なんてきっと誰も聞いてくれない」「馬鹿な人だと思われたくない」といった気持ちが先行し、積極的な意見交換が出来ていない状況です。

アサーションでは誰もが自由に発言が出来る雰囲気を作ることができ、そこから一人では思いつかないような斬新なアイデアが生まれる可能性があるのです。

アサーションの注意点

アサーションによるメリットをいくつか紹介しましたが、正しく実践したとしても相手のタイプや状況によっては、期待した通りの効果が得られず、かえって逆効果となってしまう可能性もあります。

以下でアサーションの注意点を確認しておきましょう。

相手が傷ついてしまう可能性もある

アサーションは、話す側と聞く側のどちらか一方が実践するだけも一定の効果はあります。

ただし、例えば相手が自己肯定感が低すぎる人の場合、こちらの意見を主張しただけで相手が傷ついてしまう可能性もあるのです。

ノン・アサーティブの人すべてが、「実はもっと意見を言いたい」と思っているわけではなく、性格上もともと自分の意見を言うのがあまり好きではないという人もいます。

そのような人に対しては主張を言い過ぎたり、意見を無理に引き出そうとしないように気をつけましょう。

相手が攻撃的になってしまう可能性がある

相手がアグレッシブ(攻撃的)タイプだった場合、いくらアサーションを活用したとしても話が通じないことや相手を怒らせてしまうことはあります。

性格はその人の育ってきた環境や経験によって構成させるものであり、簡単に変えられるものではありません。

話をする中で「この人はアグレッシブだな」と気づいたのであれば、まずは相手に自分の意見を否定されるということを理解し、その上で互いの意見を歩み寄らせる方法を考える必要があるでしょう。

以下の記事ではアサーションのトレーニング方法について紹介しているので、ぜひ合わせてご覧下さい。

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