【5分で分かる】ワークライフバランス 4つのメリットと実践方法

最近よく聞くようになった「ワークライフバランス」ですが、そもそもどんな用語なのでしょうか。

この記事では、ワークライフバランスという言葉について、5分でわかるように解説します。

ワークライフバランスとは?

9b82ab7dfa18a0d4853d90f2a2aad1ef_mワークライフバランスとは「仕事と生活を共存させながら、それぞれにおいて充実させること」を指しており、決して「仕事と生活の時間バランスだけを取れば良い」という話ではありません。

厚生労働省では、2007年の12月に「ワーク・ライフ・バランス憲章」を策定しました。このワーク・ライフ・バランス憲章では、国が目指している将来の国家のあり方が書かれています。

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章

ワークライフバランスの必要性

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では、なぜワークライフバランスは、こんなにも注目されるようになったのでしょうか。理由を見てみましょう。

非正規社員の増加と正社員の長時間労働 

現在、日本では非正規社員が増加しています。1984年は15.3%でしたが、2015年には37.5%にまで増えました。 

非正規社員の割合
昭和59年 15.3%
平成16年 31.4%
平成20年 34.1%
平成24年 35.2%
平成27年 37.5%

出典元:「非正規雇用」の現状と課題

非正規社員を増やす一方で、正社員の労働時間は長期化していることが原因です。

非正規社員は経済的に不安定な状況に陥り、正社員は長時間労働を課せられています。今まで、これを改善しようとする企業は少ないのが現状でした。

育児や介護による離職

なぜ、出産や子育て、介護で離職する必要があるのでしょうか。

  • 出産や子育て、介護は時間がかかり、場所もほとんど選べない。しかも、子育てでは待機児童問題もある。
  • 短く働こうと思ってもフルタイムか0時間かしか選べないため、離職せざるを得ない。

原因は以上のように集約されており、これらを改善するためには場所を選べる働き方や働く時間を自由に調節できる働き方が必要です。

女性への家事の押し付け

2017年現在、共働き世帯は増加傾向にあります。

世帯数(単位:万)
1980年 614
2010年 1012
2014年 1077

※2010年の統計では岩手、宮城、福島県の数値を含まず
出典元:I-2-9図 共働き等世帯数の推移

しかし、女性が家事をする時間が減っているかというとそうでもなく、1996年から2011年の15年間に渡ってずっと2.5時間前後をキープしています。

共働き世帯の女性は、仕事をしながら家事をこなすため、まさに「悲鳴を上げている」といっても過言ではありません。

女性・男性ともに、家事の役割分担について見直す必要があります。

ワークライフバランスを考慮した場合の4つメリット

では、企業側からみたワークライフバランスのメリットについて、ご紹介します。

採用や教育コストの削減

企業がワークライフバランスを導入しない場合、女性は「出産や子育てがあるから、フルタイムでは働けない」と退職します。

一方で、出産や子育てに関しても寛容的な姿勢を見せると「これなら出産や子育てがあっても、働ける!」と社員の退職を避けられます。

誰かが退職すると、新しい採用をして数年かけて教育しなければなりませんが、ワークライフバランスを導入することによって退職者が減り、その教育に伴うコストを削減できます。

生産性の向上

日本の基本労働時間が「8時間」と定められているのには、このような背景があります。

19世紀のヨーロッパでは10時間、9時間、8時間労働のどれが最も生産性が高いのかという実験が行われていたと言います。
例えば、鉄工所で8時間労働日を導入したところ、多職種に効果的だったこと。また、工場では8時間制を採用したことで労働者が活性化し、生産性の向上が見られるなどの結果が得られました。

出典元:特集 人はなぜ、8時間働くのだろう

心身の健康面を考えても、8時間以上働くのはあまり好ましくないでしょう。

時間をかけて多くの仕事をこなすことよりも、「限られた時間の中で多くの仕事をこなすにはどうするか」を意識することで生産性は高まります。 

社員の健康状態を保てる

長時間労働は精神疾患にかかる原因の1つです。社員が精神疾患にかかった場合「仕事が原因で精神疾患にかかった」と労災の請求や損害賠償の請求をされるかもしれません。

そうなると裁判で戦うために時間とお金を消費しなければなりませんし、もし会社側が敗訴すれば、その分のお金を支払わなければなりません。

このようなことに時間をかけるよりも、社員の健康状態を良好に保ち、意欲的に仕事をしてもらう方が会社にとって良いといえます。

優秀な人材を獲得しやすくなる

若者はお金より、自分が心地良いかどうか・やりがいなどを重視することもあります。

また、それより少し上の年齢の人もそう考えるようになってきており、優秀な人材を獲得する上でワークライフバランスは見逃せなくなってきました。

今の時代に「やりがいがある」「高年収」を語っても、優秀な人材は来ません。それより「働きやすい職場」であることをアピールした方が効果的です。

具体的にどんな取り組みをするのか?

企業は具体的にどのような取り組みをするのでしょうか。

育児休暇を取りやすくする

育児休暇を取りやすくするための取り組みとして、まず当然ですが、業務形態の見直しが必要でしょう。

休暇中の欠員はどのようにカバーできるのか、引き継ぎ期間はどれくらい必要かなど、業務形態に合わせて考える必要があります。

また、マタニティ・ハラスメントなどが起きないように「育児休暇は自由に取得できるもの」という風土も作る必要があり、管理職など重要なポジションの人物にもよく理解してもらう必要があります。

フレックスタイム制度

勤務時間のみを定めて出退勤の時間は社員に任せる制度です。

これによって、子育てをしている社員の「普段の朝は9時出社で良いけれども、子どもが病気にかかったときのために11時出社もOKにして欲しい」という願いも叶えることができます。

子育て中、特に子どもが幼い頃はどんな緊急事態が起こるのか分からないものです。このような制度があるだけで、退職を防ぐこともできます。

残業をなくして労働時間の短縮

残業を一切なくす制度や労働時間を短縮しての勤務もOKとすることも、ワークライフバランスへの取り組みといえるでしょう。

やはり時間が定まっていれば、プライベートの時間管理もそれだけ楽になります。

育児休暇中の在宅勤務

ほとんどの社員は「育児休暇中も働きたい」 と思っており、その理由として「お金」や「キャリア」を挙げます。

そこで育児休暇中だけでも在宅勤務をOKにすることで、社員にとっては次のようなメリットが生まれます。

  • お金の心配を軽減できる
  • 子育て中も仕事に関する見識を深められる
  • 職場復帰しやすくなる

会社にとっても、次のようなメリットが生まれ、双方にとって良い結果となります。

  • 出産後のブランクが少なくなる
  • 出産後も仕事を継続してもらえる

成功事例の紹介

ワークライフの重要性とその取り組み方についてご紹介してきました。ここからは、その成功事例についてご紹介いたします。

SCSK株式会社

東京都・豊洲にあるIT企業です。

IT業界ならではの残業時間の長さが問題になっていましたが、この会社では2013年度より「残業をしない人の給料を増やす」ことで残業を減らしました。

本来であれば出るはずの残業代を社員に還元したため、これに伴うコストアップは皆無です。

さらに、SCSK株式会社では17時以降の会議を禁じるルールを作ったり、部署をまたいでの応援を許可したりすることで、さらなる効率化を実現。業績アップも果たしました。

残業時間(月) 営業利益 有給取得数(年)
2010年度 27時間 140億円 12日
2011年度 27時間 169億円 13日
2012年度 26時間 208億円 15.3日
2013年度 22時間 239億円 18.7日
2014年度 18時間 280億円 19.2日

 

三桜工業株式会社

東京都・恵比寿にある自動車部品メーカーです。

この会社では2013年1月から「定時に帰ろうプロジェクト」と題して、それぞれチームを結成し、始業時と終業時に自分の業務や予定などを書いたメールをチーム内の社員に送ったり、業務効率改善の意見を出す会議を行っています。

その結果、時間外労働や休暇の取得率は、数字で効果を実感できるほどアップし、また業績も2012年4月〜12月の売上高が650億900万円だったのに対して、2016年4月〜12月の売上高は986億200万円と大幅に上がっています。

三州製菓株式会社

埼玉県・春日部市にある製菓会社です。この会社では、勤務時間の柔軟な調整を可能にする形でワークライフバランスを導入しました。

パート社員に対しては午前・午後・6時間・7時間という区分を作るようにし、子育て中や介護をしている方でも働きやすくした他、子どもがいる社員へは看護休暇(子ども一人で10日間、二人以上で15日間)を導入し、子どもの急な病気でも休みやすくしました。

その他にも計画的な年休取得を促進したり、社員に3つ以上の職務を覚えさせることで、仕事を回しやすくしました。

その結果男女ともに助け合って長く働ける職場へと変化し、休暇の取得率も向上しました。 

導入するにあたっての注意点

新しい制度を導入する場合には、それに伴う注意点についても知っておく必要があります。

優秀なマネージャーの育成

ワークライフバランスを導入するには、社員の労働時間の管理が必要です。

こうした職務ができるマネージャーは不足しているため、優秀なマネージャーを育成したり、外部委託したりする必要があります。

先ほど事例で紹介した「三桜工業株式会社」では、外部からコンサルタントを呼び、初期はコンサルタントの主導のもとワークライフバランスを改善していきました。

生産性が向上しない

「ワークライフバランス」と聞いて導入する取り組みはさまざまです。

子育て中の社員が多い会社で「介護をしている社員は、月◯回まで在宅勤務OK」と言っても社員に対しては全く響きません。

労働環境に合わせたワークライフバランスの取り組みを導入しなければ、生産性は向上しないため、社員が置かれている現在の状況をしっかりヒアリングする必要があります。

女性ばかりが優遇される不公平感

女性は結婚・出産・子育てなどキャリアに影響が及ぶライフイベントを多く抱えています。

中でも出産と子育ては、当事者にとっても会社にとっても一大事のため、育児支援などを取り入れようという考え方もありますが、「女性や子を持つ方だけが対象となる」と他の社員が不公平に感じます。

また育児休暇の有無で評価に差がつくと育児休暇は取得しにくくなり、同じにすると不公平と感じてモチベーション低下につながります。

評価や処遇が一般化されているものでもありませんので、難しいものがあります。育児休暇の他にも、すべての社員が活用できる制度を導入するのがいいでしょう。

まとめ

話題に上がることの多いワークライフバランス。

ワークライフバランスと聞くと「労働時間を短くすることね」と解釈している方もまだ多いですが、実際は少し違った意味合いがあります。

ワークライフバランスは必要な会社に対して、求められている形式で導入できれば大きな成果を生み出すでしょう。

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